2019年11月26日、ゲーム内で「Bアーツのバレット消費に関する不具合」というお知らせが流れました。内容は、簡単に言うとオリエンスの覚醒スキルの不具合について、実質的にはオリエンスの弱体化と言ってもいい内容で、修正内容とお詫びと魔宝石の配布について書かれています。
この修正をめぐって、すでにTwitterなどで様々な意見が交わされています。僕個人としても、メギド72の運営にとって、とても大きな問題だと認識しています。また、オリエンスをもっていない人や、良く知らない人によって、修正内容の影響について正確でない情報が飛び交う場面もあるように感じました。
そこで、まず、修正内容の確認、そして修正によってオリエンスがどうなるのかという点についてお話します。修正された場合これぐらいの強さになる、という想定の動画も撮影してまいりました。
それから、今回の修正に関する問題点についてお話していきたいと思います。
修正について オリエンス覚醒スキルのバレット同時消費
修正はオリエンスの覚醒スキルと覚醒スキル+に関するものです。
オリエンスの覚醒スキルは、バレットを消費し、消費したバレットの数だけ、最大10連続でランダムな敵単体にかばう効果を無視してダメージを与えるというものです。
この時、最大10のバレットを消費するのですが、バレットの消費に関して、ゲーム内ヘルプではこのような記述があります。
「バレットが同時に複数消費された場合、消費されたバレットの効果が同時に発動します。」実は、メギド部ではオリエンスがリリースされる前からこの記述に気がつき、オリエンスの覚醒スキルが、バレットを同時に複数消費したものとして処理されるかどうかに注目していました。そしてリリース後試してみると、オリエンスの覚醒スキルは、10発なら10発全ての攻撃に、消費したバレットの効果が乗っていました。
極端なことを言うと、オリエンスの奥義、フォカロルのスキル、フォカロルの奥義、アガレスの覚醒スキルによるバレットを生成した状態で、覚醒スキルを撃つと、
レベル×40固定ダメージ、飛行特攻2倍、防御力30%ダウン、感電80%、防御無視80%、強化解除、ダメージ60%上昇
の全ての効果がかかった弾を連続して撃ちだすことになります。実際にそういう構成を組んで戦った紹介記事も書いております。
以下はこの記事でご紹介している動画で、フォカロル、アガレス、オリエンスの全てのバレットが合成して撃ちこまれている様が確認できます。
分かりやすいところでいうと、例えば、フォカロルの奥義には、固定ダメージ、レベル×40の効果がありますが、これによってオリエンスの覚醒スキル10発全てに2800の固定ダメージがついていることが確認できます。また、強化解除、防御ダウン、感電などが全ての攻撃についているのでそれらが連続して発動する姿が確認でき、分かりにくいんですが、防御力80%無視、ダメージ60%上昇、飛行特攻2倍などもついてダメージを大きく伸ばしています。
これらが、全ての攻撃にいっぺんに発現していたことが不具合とされて、バレットを生成した順にアガレスの覚醒スキルのバレットを消費した攻撃は防御力80%無視と感電、フォカロルの奥義で生成したバレットを消費した攻撃には飛行特攻2倍と固定ダメージレベル×40、オリエンスの奥義で生成したバレットを消費した攻撃には、強化解除とダメージ60%上昇の効果がそれぞれつくことになります。
パーティー構成によっては非常に大きな影響があることは間違いありません。となれば、オリエンス自体がこれによって大きく弱体化して、使えないメギドになるか、という点を心配する人も多いかと思います。
結論から言うと、オリエンスはこの修正で大きな影響を受けますが、それでもなお、非常に強力なアタッカーであると断言できます。
修正後のオリエンスはどうなる?
オリエンスがリリースされてすぐに、「メギド部!」では、オリエンスの火力を引き出す記事を投稿しています。
こちらの記事では、ダメージがどのくらい出るかというベンチマークテスト的に、貫通無効、防御力1045、体力14万8960を誇る大幻獣リリィEXを、オリエンスの奥義とアガレスの覚醒スキルでバレットを8個作り、レッドウィングやダンタリオンの奥義などでバフして、オリエンスの覚醒スキルで撃ち抜く、という動画をご紹介しています。
これと同じように、ただし、オリエンスの奥義を使わずに、アガレスの覚醒スキルによるバレットのみでリリィと戦ってみました。バレット1種類だけでどの程度火力が出せるか、という実験です。
オリエンス修正後想定 アガレスのバレットのみでリリィEX撃破 【メギド72】
ご覧いただければ一目瞭然ですが、メチャクチャに強いです。オリエンスのバレットを混ぜなくても、体力15万弱のリリィを覚醒スキル1回で撃ち抜けます。ちなみに、リリィは貫通無効なので、アガレスのバレットによる防御力8割無視も効果がありません。つまり、オリエンスはこの動きをした時に、誰のバレットだろうがこのぐらいのダメージが出せるということなんです。オリエンスの覚醒スキルは2か所メチャクチャなところがあって、1か所はバレットの効果を混ぜられること、これが今回不具合として修正されることになります。もう1か所が、攻撃力2倍ダメージの連射です。
攻撃力2倍という技倍率の方が残っているので、きちんと条件を揃えさえすれば、自分より素早さの低い相手にダメージ1.5倍というオリエンスの特性もあいまって、恐ろしい火力が実現できます。
ですから、オリエンスは修正で大きな影響を受けますが、それでも元々がオーバーキル気味だったこともあり、その超火力は健在である、と言えます。オリエンスを持っている人は、ぜひ、修正でダメになったとは思わず、大事に使ってあげて欲しいと思います。もちろん、これまでできていたことができなくなる場面もありますが、それでもオリエンスはまだまだやれる子です。
今回の修正の問題点 あまりに遅い発表と優良誤認の可能性
おそらく、ゲームバランス的には、今回の修正は妥当だと僕は考えています。オリエンスの火力は明らかにオーバーキル気味でしたし、また、オリエンスが覚醒スキル10連射で使われるバレットの効果をすべて発現できるとなると、今後のバレット関係のメギドの能力に制約を与えかねないと思われます。つまり、強力なバレットを作ろうとしても、オリエンスが全部混ぜて使ってしまうために、バランスの問題で実装しにくくなる、ということです。
じゃあ、今回の不具合修正は良かったのかといえば、大きな問題があると思っています。特に話をややこしくしているのは、発表の時期です。お知らせによると、不具合が発生したのが10月31日の15時、つまりオリエンス実装タイミングです。そしてユーザーに不具合報告をしたのが、11月26日、1か月近くが経過し、その間、ラッシュフォカロルのピックアップも開催しています。
オリエンスが実装されると、運よく手に入れて、細かく色々試したプレイヤーの中に、覚醒スキルで消費したバレットの効果が全ての攻撃に適用されることを確認した人がいます。僕もその1人です。ゲーム内ヘルプには、一度に複数のバレットが消費された場合、同じ種類の効果でない限り、全ての効果が同時に発動すると書いてあるわけですから、当然、ヘルプを読んでいればその仕様が適用されたと考えます。後述しますが、同じ説明をアジトTVでもしています。
もっと言えば、このメギド部!でもそういう説明をしています。メギド部!を読んで、それは強い、と思った人もいるかもしれません。
この時、ラッシュフォカロルが奥義で生成するバレットの効果に、飛行特攻2倍や固定ダメージレベル×40があることを知れば、オリエンスの覚醒スキルで放つ連射全てにそれらが適用されることが容易に想像でき、そして、オリエンスとフォカロルのコンビネーションを考えて、フォカロルが欲しくなる人がいるはずです。少なくとも僕はそうでした。冒頭ご紹介した、フォカロル、アガレス、オリエンスのバレットの効果を全てのさせたオリエンスの覚醒スキルを出す構成について、Twitterで話しています。
オリエンスの解説書きましたが、前言った、フォカロル、オリエンス、アガレス、マルバス、フォラスの全体化バレット戦略が恐ろしいことになることが判明しました。
— 田下 広夢@金曜夜はゲームルーム (@TaoriHiromu) November 9, 2019
たぶん
防御80%無視、感電80%、ダメージ60%上昇、強化解除、防御30%ダウン、飛行特攻2倍、固定ダメージレベル×40の攻撃を連射です。
こういった状況の中で、オリエンスとフォカロルの組み合わせに期待して、ガチャに課金した人からすれば、今回の不具合発表はあまりに遅すぎます。そして、今のところ遅くなった理由も、不具合をユーザーに知らせることができないままフォカロルのピックアップが開催されてしまったことをどう考えているのかについても、一切説明がありません。
お知らせでは、今回のお詫びとして、まず、niconicoやYouTubeなどで配信された『メギド72公式番組「アジトTV」#9』でのオリエンスの説明が分かりにくかったことを謝罪し、全員に魔宝石100個配布するとしています。
実は、オリエンスの紹介に際して、バレットの説明をしていて、複数バレットを消費する時には、複数の効果が同時に発動するという話をしているんですね。その説明の少し前に、オリエンスの覚醒スキルが所持しているバレットを一気に消費すると話しているので、バレット複数消費の話をオリエンスの覚醒スキルと関連付けて考える人がいてもおかしくはありません。
そして、お知らせによると補填の2つ目として、今回の修正の影響範囲にあるメギドとオーブ、カウンターアガレス、ラッシュフォカロル、オリエンス、そしてSSRオーブのラパンのうち、所持しているメギドやオーブ1種につき魔宝石200を補填するそうです。
しかし、オリエンスやフォカロルが欲しくて課金し、そして今回の修正にガッカリしている人からすれば、この補填はあまりに少なくて話にならないでしょう。実際メギド部の中でも、大変にショックを受けている人もいました。
僕はメギド72が本当に好きですから、金返せみたいなことは言いたくありませんし、オリエンスも修正後の方がゲームにとって良いバランスになると思いましたし、フォカロルも大切に使って活躍してもらおうと思っています。
しかし残念でならないのは、メギドの運営が不具合を報告することが遅れた結果、間違った情報で商品を販売したことには触れず、少ない補填でユーザーをごまかそうとしているように感じられることです。
今回のことは、優良誤認にあたる可能性もあると思います。
不具合だから優良誤認ではないかというと、そんなことはありません。景品表示法第5条には、「不当な表示の禁止」として以下のような表現をしてはいけないと書かれています。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
そして、消費者庁の「優良誤認とは」のページには以下のように記載されています。
なお、故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。
実際に、景表法に抵触するかという判断をここですることはできませんが、 オリエンスの仕様が不具合であり、そして何らかのトラブルによってその報告が遅れてしまっていたとしても、そのせいで「実際のものよりも著しく優良である」と表示して商品を販売していれば、優良誤認の可能性はあると思います。少なくとも、アンフェアな取引が行われていたことは、明確ではないでしょうか。
穿った見方をすれば、オリエンスとフォカロルのピックアップが終わったタイミングで、2柱のメギドのコンボを不具合扱いとしてなかったことにし、次にピックアップされるバレットメギドのニスロクのガチャに課金を誘導しようとしているようにも見えてしまいます。ニスロクは、奥義でバレットを3個同時に消費することができるメギドです。今度こそ、複数のバレットの効果を同時に使える、というわけです。
僕はそんな風に思っていませんし、思いたくもありません。正直に言えば、メギドが大好きだから、メギドがそんなことするわけない、そう言いたいぐらいです。でも、そういう意図がなくても、悪意を持ってやっているように見えてしまったらいけないんです。信用を落とすんですよ。ダメでしょう、なにをやっているんですか。
不具合か、調整か
これを不具合ではなく、単なる調整だったのではないか、という人もいます。不具合だったにしては、いくらなんでも公表が遅すぎて不自然だからですね。また、オリエンスの覚醒スキルで消費したバレットの効果が同時に発動しないのならば、オリエンスの登場に際して、アジトTVでバレットを同時消費した場合の挙動説明をしたことも不自然に思えます。オリエンスとセットで紹介しても混乱を与えるだけです。むしろ、オリエンスの覚醒スキルはバレットを同時に消費しているわけではないことを説明するべきだった、ということになります。
とはいえ、不具合なのか、調整なのかという点について、いくら考えても推測の域はでません。また、こういう発表の仕方をしている限りは、どちらでもユーザーが被っている不利益に関しては同じことだと僕は考えます。
ただし、調整だった場合に、メギド72というゲームが抱えている問題があらわになりますので、一応そのことに触れておこうと思います。なぜなら、メギド72を面白いゲームにしていくためには、リリース後の調整が必要である可能性が高いからです。メギド72は、登場するメギド達全てが活躍できるように、丁寧に作られています。しかし、それぞれの能力がそれぞれに影響を与える為、その調整は登場するメギドが増えていくごとに難しさを増していくはずです。
実は、対戦型のカードゲームで同じような問題が良く起こります。カードゲームでは、新しいカードが登場する際、カードの組み合わせによってあまりに強い効果を発揮し、他のカードを駆逐してゲームが面白くなくなってしまうことが良く起こります。ハースストーンやドラゴンクエストライバルズなど、スマートフォンで遊べるデジタルカードゲームでは、そういった場合に備えて、カードの効果を下方修正する場合に、当該カードを破棄することを条件に、同等のレアリティの好きなカードが手に入るだけのポイントをもらえる、というような仕組みが導入されています。
ガチャの在り方がそういったカードゲームとは違うので、同じことをすればいいとは簡単に言えませんが、メギド72も、バランス調整をする為にリリース後にユーザーの了承を得て、メギドの能力を変更する方法を組み込む必要があるだろう、と、今回思いました。そしてそのことをユーザーがきちんと理解して、一定の納得できるルールの中で修正が行われていく、そういう枠組みを作っていく必要があるだろうと考えます。もちろん、今回のような不意打ちをしないためにです。
もし、万が一、オリエンスの能力を高く設定しすぎたために下方修正を入れることを目的とし、不具合を装うというようなことがあれば、それはもう、考え得る手段の中で、最悪中の最悪であると言えます。穏当な手段に見えて、実のところ、ユーザーの信頼という、ここまで丁寧に丁寧に積み重ねてきた1番大事なものを切り崩しているからです。
どうか、大切なものを間違えないで
重ねて言いますが、僕はオリエンスの修正自体は妥当だと思います。そして、実験してお見せした通り、オリエンスは修正された後も活躍します、大丈夫です。
個人的にはお金を返して欲しいとは思いませんが、しかしメギド72というゲームの健全な運営を考えれば、ユーザーが納得する補填をするべきだとは思います。しかし、それよりももっと大事なのは、とにかくきちんと説明することです。このままでは、ただただ疑心暗鬼になるばかりです。
twitterなどを見ると、オリエンスの不具合の報告の遅さ、タイミングの悪さなど、運営の問題を指摘しつつも、メギド72を心配する声がたくさんありました。せっかくユーザー目線の運営をこれまでしてきて、日本ゲーム大賞も受賞して、とてもいい感じになって、このまま伸びて行って欲しいのに、こんなことで信頼を裏切って、炎上して、今まで頑張った分を燃やしてしまわないで欲しい。そう思っている人がたくさんいるんじゃないでしょうか。
僕は、オリエンスとフォカロルを手に入れて、これまでにバレットアーツについて3本の記事を書いています。オリエンスの覚醒スキルで同時にバレットを消費できることを確認し、フォカロルと組み合わせるとかなり面白いことができそうだと発見し、メギドをもっと盛り上げたくて、夜中までかけて記事を書いていました。
もしかしたら、それを読んで、フォカロルが欲しいと思って課金した人もいるかもしれません。その人がもし今、課金を後悔していたらと思うと、大変に憂鬱になります。その憂鬱な思いで、また夜を徹してこれを書いています。
メギド72は本当に面白いゲームです。だから、応援している人がたくさんいます。その人達だけは裏切ってはいけません。みんな、きちんと説明して、もし間違いがあったら謝って、それでいつものメギドに戻って欲しいと思っていますよ。僕は宮前さんのプロデューサーレターがとても好きです。だってきちんと、自分達が間違っていたと思ったら、何が間違っていたか、どうして間違えてしまったのか、書くじゃないですか。それでちゃんと謝って、改めて、次の一歩を踏み出すじゃないですか。そうしたら、僕も変わらず、応援しますよ。絶対です、全力で応援します。間違うこともあるけど、きちんと踏みとどまって、メギドの運営はやっぱり信頼できるっていいたいですよ。
繕わず、臆さず、常に未来のために、どうか、大切なものを間違えないでください。